
■ はじめに:あの横に長い窓、意味があった
昭和のラジオを思い出してほしい。
正面に、細長く横に伸びたガラス窓。
その中を、針がスーッと左右に動く。
今見ると、
「なぜ横長?」
と不思議に感じるかもしれない。
だが、あの形は偶然でも、
デザイン優先でもない。
横長でなければならない理由が、
しっかりと存在していた。
■ 結論:周波数は「横に並んでいた」
まず結論から言おう。
ラジオのチューニング窓が横長だったのは、
周波数が横方向に並んでいたからだ。
極めてシンプルな理由である。
AMラジオの周波数は、
・左が低い
・右が高い
という形で、
一直線に並べて表示するのが最も分かりやすかった。
その結果、
窓は自然と横に長くなった。
■ ダイヤル操作は「左右」が基本だった
昭和のラジオは、
ダイヤルを回して周波数を合わせる。
このとき、
・右に回す → 周波数が上がる
・左に回す → 周波数が下がる
という直感的な操作が重要だった。
横長の窓なら、
・針が右へ動く
・針が左へ戻る
動きが一目で分かる。
縦長だと、
この感覚が分かりにくくなる。
横長は、
人の感覚に合った配置だった。
■ 放送局は「地域ごとに横に並んでいた」
昭和のラジオ放送は、
・NHK
・民放各局
・地域局
が、周波数帯の中で
横並びに配置されていた。
だからチューニングするときも、
・左から順に探す
・右へ少しずつ回す
という使い方になる。
横長の表示は、
放送局を探す行為そのもの
を、
視覚的に表していた。
■ 縦にする意味が、ほとんどなかった
では逆に、
縦長だと何が起きるか。
・上下に針が動く
・周波数の増減が直感的でない
・ダイヤル操作と一致しない
操作と表示がズレると、
人は混乱する。
昭和のラジオは、
誰でも使えること
が最優先だった。
だから、
余計な工夫は入れなかった。
■ 部品構造的にも横が有利だった
実は内部構造も、
横長表示に向いていた。
・ダイヤルと糸でつながった針
・左右に引っ張る構造
・シンプルなメカニズム
横方向なら、
・構造が単純
・壊れにくい
・調整しやすい
縦方向にする理由が、
ほぼ存在しなかった。
■ 横長は「高級感」を出しやすかった

もうひとつ重要なのが、
見た目の問題だ。
横長のチューニング窓は、
・横に広がりが出る
・パネルが堂々と見える
・高級オーディオ感が出る
昭和の家電にとって、
見た目の信頼感
は非常に重要だった。
横長の窓は、
「ちゃんとした機械」に見えた。
■ 家具としてのラジオにも合っていた
昭和のラジオは、
・木製キャビネット
・横に広い箱型
・家具と一体化
この形に、
縦長の窓は合わない。
横長の窓は、
ラジオ全体のバランス
を美しく整えていた。
■ FMラジオが出ても、横長は続いた
FM放送が始まっても、
チューニング窓は横長のままだった。
理由は簡単。
・操作に慣れている
・見やすい
・壊れにくい
一度定着した
完成された形は、
そう簡単に変わらない。
■ そして表示は「消えていく」
時代が進み、
・デジタル表示
・液晶
・プリセット
が主流になると、
チューニング窓そのものが消えていく。
周波数を
「探す」から
「選ぶ」時代へ。
こうして、
あの横長の窓は役目を終えた。
■ まとめ:横長は、最も合理的だった
ラジオのチューニング窓が横長だった理由は、
・周波数が横に並んでいた
・操作と表示が一致していた
・構造が単純で壊れにくかった
・放送局を探しやすかった
・高級感と安心感があった
・家具としてのバランスが良かった
すべてが、
昭和の暮らしと技術に合っていたからだ。
無駄な装飾ではなく、
完成された機能美。
あの横長の窓は、
ラジオが一番ラジオらしかった証なのである。
※本記事は昭和期の一般的なラジオ・放送事情をもとにした解説です」

