
■ はじめに:気づけば、ずっと同じ家電を使っていた
昭和の家庭を振り返ると、
ひとつ不思議なことに気づく。
家電が、とにかく長持ちした。
冷蔵庫は10年どころか、
20年使うのも珍しくない。
扇風機はモーターだけ掃除して
毎年夏に活躍。
テレビは、
「買い替えは壊れたときだけ」。
今の家電と比べると、
寿命の感覚がまったく違う。
ではなぜ、
昭和の家電は
あれほど長持ちしたのか。
■ 結論:壊れにくいように作る“前提”だった
まず結論から言おう。
昭和の家電は、長く使うことを前提に設計されていた。
・すぐ壊れない
・修理できる
・部品交換で延命できる
今とは思想そのものが違う。
家電は「消耗品」ではなく、
“財産” に近い存在だったのだ。
■ 部品に「余裕」があった

昭和の家電を開けると、
見た目からして違う。
・太い配線
・金属のフレーム
・大きめの部品
つまり、
“余裕を持って作っている”。
現代の家電は、
・薄く
・軽く
・コンパクト
を追求した結果、
部品がギリギリで動く。
一方、昭和はこうだ。
・壊れにくさ優先
・多少の負荷でも耐える
・熱にも強い
結果として、
寿命が圧倒的に長くなった。
■ 機能がシンプルだった

昭和の家電は、
機能が驚くほど少ない。
扇風機なら、
・弱
・中
・強
洗濯機なら、
・洗う
・すすぐ
・脱水する
それだけ。
シンプルな分、
・壊れる場所が少ない
・制御部分が少ない
・メンテナンスが簡単
という利点があった。
■ 修理する文化があった
昭和には、
壊れたら直す
という文化が当たり前にあった。
・近所の電気屋さん
・メーカー修理
・部品取り付け直し
修理前提の構造だったため、
・ネジで開けられる
・中が見える
・部品が交換可能
今のように
「分解禁止・ユニット交換・買い替え推奨」
ではなかった。
■ メーカーも“長く使われる前提”で作っていた
昭和の家電メーカーは、
信頼=耐久性
だと考えていた。
・長く使える
・壊れない
・安心できる
これが ブランド価値 だった。
だから、
・耐久テスト
・余裕設計
・頑丈な素材
にコストをかけた。
結果として、
30年動く冷蔵庫
が生まれるのである。
■ 「買い替える」時代ではなかった

昭和の家庭では、
・一度買った家電は、できるだけ長く
・壊れるまでは買い替えない
という考え方が主流だった。
理由はシンプルだ。
・家電は高価
・ローンで買うことも多い
・家庭の“主役”だった
だからメーカーも、
長期間使われる製品=良い製品
と考えていた。
■ 規格が単純で互換性があった
昭和の家電は、
・ネジ寸法
・配線方式
・部品サイズ
が比較的シンプルで統一されていた。
そのため、
・同じ型の部品が流用できる
・在庫が確保しやすい
・修理しやすい
現代のような
特殊ネジ・独自規格だらけ
ではない。
■ 余計な“発熱”を抑えていた
家電が壊れる一番の原因は、
実は 熱 だ。
昭和の家電は、
・放熱用のスペース
・冷却フィン
・金属ケース
によって
熱がこもりにくい設計だった。
一方現代は、
・小型化
・密閉化
・高性能化
=「発熱と劣化を招きやすい」。
丈夫さより、薄さが優先されているのだ。
■ 電子化が少なく、機械式が多かった
昭和の家電は、
電子制御よりも 機械式 が中心。
・ギア
・レバー
・スイッチ
壊れても、
・油を差す
・部品を交換
・調整する
だけで復活することも多い。
電子基板が増えた現代は、
・一箇所壊れる → 全体停止
・修理コストが製品価格を超える
という構造になりやすい。
■ そして時代は「寿命込みの設計」へ

やがて平成以降、
・ライフスタイルの高速化
・次々出る新製品
・買い替えサイクルの短縮
が進む。
家電は次第に、
長く使うもの
から
使い切って買い替えるもの
へと変わっていく。
それは
悪いことではない。
・省エネ
・高性能
・便利さ
は確実に増した。
だが同時に、
“相棒のように長く付き合う家電”
は減っていった。
■ まとめ:長持ちは、思想そのものが違った
昭和の家電が長持ちした理由は、
・余裕のある設計
・機能がシンプル
・修理前提の構造
・耐久性重視のメーカー思想
・規格が単純で直しやすい
・放熱と強度を優先していた
すべてが、
「長く使う」ために作られていたからだ。
最新技術にはない
安心感と相棒感。
昭和家電が、
今も愛される理由は――
“丈夫さ”という優しさが、
形の中に残っているから。
