
■ はじめに:持ち上げた瞬間、ずっしり来た
昭和の家に、必ず一台はあったもの。
それが――黒電話だ。
受話器を取ると、
「……重っ」
今のスマホやコードレス電話を知る世代には、
想像できない重さかもしれない。
本体はもちろん、
受話器までやたらと重い。
なぜ黒電話は、
あんなにも無駄に重たかったのか。
実はそこには、
昭和ならではの合理的すぎる理由が詰まっている。
■ 結論:重くないと「電話」にならなかった
まず結論から言おう。
黒電話は、重くなければ成立しなかった。
デザインでも、威厳でもない。
機能上、重さが必要だったのだ。
現代の電話と同じ感覚で考えると、
この理由を見落としやすい。
■ ダイヤルを回すには「重さ」が必要だった
黒電話最大の特徴といえば、
あの回転式ダイヤルだ。
番号に指を入れて、
ガラガラガラ……と最後まで回す。
この動作、
実はかなりの力がかかっている。
もし本体が軽かったらどうなるか。
・ダイヤルを回すたびに本体が動く
・最悪、電話機が回る
・安定して操作できない
だから黒電話は、
ダイヤル操作に負けない重量
を最初から持たされていた。
重さは、
操作性を保つための必須条件だったのである。
■ 受話器が重いのにも理由があった
「本体が重いのは分かる。
でも、受話器まで重い必要ある?」
そう思うかもしれない。
だが、受話器の重さにも意味がある。
・耳に密着させる
・口元に安定させる
・多少動いてもズレない
軽すぎる受話器では、
通話中に位置が定まらなかった。
重さがあるからこそ、
自然に正しい位置で使える。
これも、
昭和の“道具としての完成度”なのだ。
■ 中身は金属だらけだった
黒電話を分解したことがある人なら分かる。
中身は、
・金属製のベル
・分厚いフレーム
・重量感のある部品
今の電子基板中心の電話とは、
構造がまるで違う。
特に、
呼び出し音のベル
これが、
重さの正体のひとつだった。
チンチン、と鳴るあの音は、
軽い部品では出せない。
物理的に叩いて鳴らす
そのための重さだった。
■ 電話線を引っ張られても動かないため
昭和の電話は、
コードレスではない。
長いカールコードを引っ張って、
・立ち上がる
・移動する
・別の部屋へ行く
これが普通だった。
もし本体が軽かったら?
・電話台から落ちる
・引きずられる
・最悪、配線が抜ける
だから黒電話は、
多少引っ張られても動かない重さ
を持たされていた。
重さは、
安全装置の一部でもあった。
■ 壊れにくさ=重さだった
昭和の家電は、
長く使う前提
で作られていた。
黒電話も例外ではない。
・落としても壊れにくい
・多少ぶつけても問題ない
・何十年も使える
この頑丈さを支えていたのが、
重厚な構造だった。
軽量化より、
耐久性優先。
その結果が、
あの重さである。
■ 「一家に一台」の責任感

黒電話は、
・一家に一台
・連絡手段の要
・緊急時の生命線
今のように、
各自がスマホを持つ時代ではない。
だからこそ、
・安っぽく見えない
・簡単に壊れない
・どっしりしている
そんな信頼感のある見た目が求められた。
重さは、
安心感そのものだったのだ。
■ 軽い電話は「不安」だった
もし昭和の時代に、
今のような軽い電話があったらどうだろう。
・おもちゃみたい
・すぐ壊れそう
・信用できない
そう感じる人が多かったはずだ。
重い=丈夫
重い=信頼できる
そんな価値観が、
確かに存在していた。
■ まとめ:黒電話の重さは、必然だった
黒電話が重かった理由は、
・ダイヤル操作に耐えるため
・受話器を安定させるため
・金属部品が多かった
・引っ張られても動かないため
・壊れにくさを優先したため
・信頼感を与えるため
すべてが、
昭和の暮らしに必要な条件だった。
軽さが正義の今とは真逆だが、
あの重さには、
確かな意味があったのである。
※本記事は昭和期の一般的な生活・通信機器事情をもとにした解説です

