
■ はじめに:気づけば、家電は白かった
昭和の家を思い出してほしい。
台所、居間、洗面所――
そこに置かれている家電の多くが、
白か、アイボリー。
冷蔵庫も、炊飯器も、洗濯機も、
扇風機まで白かった。
今でこそ、
・黒
・シルバー
・木目調
といったバリエーションが当たり前だが、
昭和は 「白一色」 と言っても過言ではない。
なぜ、
昭和の家電はここまで
白に統一されていたのか。
そこには、
単なる流行では終わらない
はっきりした理由があった。
■ 結論:白は「どこに置いても邪魔にならない色」だった
まず結論から言おう。
白は、どんな部屋にもなじむ「安全な色」だった。
昭和の住宅は、
・和室が多い
・木目の家具が中心
・畳や障子が基調
という、
落ち着いた色合いの空間だった。
そこへ突然、
派手な色の家電を置いたらどうなるか。
・浮く
・主張しすぎる
・部屋が落ち着かない
だからメーカーは、
家具より前に出ない色
邪魔しない色
として 白 を選んだ。
白は、
最も無難で、最も失敗しにくい答え
だったのだ。
■ 清潔=白、という価値観

昭和の家庭において、
白には特別なイメージがあった。
・清潔
・新しい
・きれい
特に、
・台所家電
・冷蔵庫
・調理器具
では、
「白=衛生的」 という印象が強かった。
少しでも汚れが目立たない色にすると、
ちゃんと掃除していないと思われる
そんな心理が働いた。
白なら、
・汚れがすぐ分かる
・清潔に見える
・新しい感じが続く
生活感と安心感を両立する色
――それが白だった。
■ プラスチックの色が「ほぼ白」しか選べなかった
もうひとつ重要なのが、
素材の問題だ。
昭和の家電で多用されたのは、
・樹脂(プラスチック)
・金属に白塗装
当時のプラスチック技術では、
・発色の良い色
・ムラのない塗装
・長持ちするカラー
を安定させるのが難しかった。
色付きにすると、
・日焼けで黄ばむ
・ムラが出る
・劣化が目立つ
その点、白やアイボリーは、
・変色が目立ちにくい
・量産しやすい
・コストが安い
工業的にも扱いやすい色だった。
つまり、
白は「作りやすい色」でもあったのだ。
■ 木目の家と相性が良すぎた

昭和の家は、
・木の柱
・木目のタンス
・ちゃぶ台
・障子
と、
木材が主役の世界。
白い家電は、
・木目の隣でも違和感がない
・やさしく溶け込む
・部屋を広く見せる
家具と戦わない。
主張しない。
だからこそ、
「白い家電=家庭に合う家電」
というイメージが定着していく。
■ 高級感さえ、白が担当していた
今でこそ、
高級家電といえば
・黒
・メタリック
という印象があるが、
昭和は違う。
白こそが、
・新品
・高級
・憧れ
の象徴だった。
白い冷蔵庫、
白い洗濯機。
それは、
生活レベルが一段上がった証
でもあった。
■ 部屋を「明るくする」色だった
昭和の住宅事情を思い出してほしい。
・窓が少ない
・照明も弱い
・昼間でも薄暗い
そんな家も多かった。
白い家電は、
・光を反射する
・圧迫感を減らす
・部屋が広く見える
まるで
“灯りを足す”ような効果
を持っていた。
実用性と見た目、
両方の理由で
白が選ばれていたのである。
■ 「汚れが見えること」が大事だった
白は汚れが目立つ色だ。
普通なら欠点に思えるが、
昭和ではむしろ逆だった。
・汚れが見える
・掃除する
・清潔が保たれる
衛生管理がしやすい色。
炊飯器や魔法瓶ポット、
冷蔵庫、電子レンジ(後期)。
白いことで、
常に清潔を意識する
そんな生活習慣まで
作り出していた。
■ そして時代は「カラフル」へ

平成以降、
・インテリア多様化
・ステンレスブーム
・デザイン重視
が進む。
すると、
・黒い家電
・赤いキッチン家電
・ステンレスの冷蔵庫
白一色の時代は、
少しずつ終わりを迎える。
■ それでも白は「基準色」のままだ
今でも家電量販店に行くと、
・まず白
・そこから色違いが展開
という順番が多い。
白は、
・部屋を選ばない
・価格を選ばない
・世代を選ばない
“標準の色”として生き続けている。
昭和の価値観が、
今も静かに受け継がれているというわけだ。
■ まとめ:白は「家庭の色」だった
昭和の家電が白かった理由は、
・どんな部屋にもなじむ
・清潔感があった
・当時の素材と相性が良かった
・木目の家と溶け合った
・部屋を明るく見せた
・衛生意識を支えた
すべてが、
暮らしに寄り添うための選択だった。
派手な色より、
静かな安心感。
白い家電は、
昭和の家庭を支え続けた
「目立たない主役」だったのである。
※本記事は昭和期の一般的な家電・住宅・生活事情をもとにした解説です

