
■ はじめに:四角い家電が当たり前だった
昭和の家を思い出してみよう。
テレビ。
冷蔵庫。
洗濯機。
ステレオ。
ほとんどの家電が、
四角く角ばった形をしていた。
今のような、
・丸み
・曲線
・やわらかいデザイン
とは、まるで別世界だ。
なぜ昭和の家電は、
あれほどまでに
角ばっていたのか。
そこには、
単なる「古臭さ」では片づけられない
はっきりした理由が隠れている。
■ 結論:角ばっていた方が「作りやすく、壊れにくかった」
まず結論から言おう。
角ばった家電は、製造・強度・コストの最適解だった。
・作りやすい
・丈夫
・安い
すべてがそろう形――
それが「四角」だった。
デザインというより、
工業製品としての合理性が先にあったのだ。
■ 金属と木目の時代だった
昭和の家電に多かった素材は、
・金属
・木目調化粧板
金属を加工するとき、
丸みをつけるのは難しい。
・曲げる
・削る
・溶接する
工程が増え、
コストも時間もかかる。
だが四角なら、
・切る
・曲げる(直角)
・溶接する
これで済む。
角ばっている方が圧倒的に作りやすかった
というわけだ。
■ 家具と“並べて使う”前提だった
昭和の家電は、
・テレビ → タンスの上
・ステレオ → 棚の中
・冷蔵庫 → 壁際にぴったり
つまり、
家具と一体で使う前提だった。
角ばっていれば、
・隙間なく置ける
・積み重ねられる
・面で揃って見た目が整う
家電は“インテリアの一部”というより、
収納家具の延長線にあった。
丸い家電は、
・場所を取る
・揃わない
・無駄な隙間ができる
そのため敬遠された。
■ 強度を出しやすかった
角ばった箱形は、
・外からの圧力に強い
・構造が安定している
という利点がある。
特に、
・大型ブラウン管テレビ
・重いモーター入り家電
を支えるには、
箱型フレームが最適だった。
薄くて丸い形では、
強度が不足しやすい。
結果として、
四角い=壊れにくい
という評価が生まれた。
■ 中身が「四角」でできていた

家電の内部を見ると、
多くの部品が四角い。
・基板
・トランス
・バッテリー
・金属フレーム
丸い外形に合わせるには、
内部も曲げる必要がある。
だが昭和は、
中身を優先 → 外側を合わせる
という設計思想。
だから自然と、
外側も角ばっていった。
■ 家電は「置く」より「据え付ける」ものだった
昭和の家電は、
・動かさない
・据え置く
・長く使う
これが前提だった。
角ばっていれば、
・安定する
・揺れにくい
・地震でも倒れにくい
安全性の面でも有利だった。
軽くて丸い家電は、
転がる・倒れるリスクが高い。
■ デザインより「機能説明」が大事だった

昭和の広告を眺めると、
・性能
・容量
・耐久性
が前面に出ている。
今のような、
フォルムの美しさ
ライフスタイル提案
とは違う世界。
四角い家電は、
・操作パネルを広く取れる
・ラベルが貼りやすい
・機能が“見える”
機能説明型デザインに
向いていた。
■ 高級感=重厚感だった
昭和の価値観では、
重い=高級
角ばっている=立派
というイメージがあった。
・木の家具
・金庫
・スピーカー
いずれも四角くて重い。
そこに家電も合わせることで、
・安心感
・安定感
・存在感
を演出していた。
■ そして時代は「丸み」へ

平成に入り、
・プラスチックの成形技術向上
・軽量化の進展
・安全基準の変化
により、
丸い方が安全で優しい
という価値観が広がる。
家電は、
・軽く
・丸く
・コンパクト
へと進化していった。
■ それでも四角は“消えなかった”
現代でも、
・冷蔵庫
・テレビ
・レンジ
は、
やはり四角が基本だ。
理由は単純。
・収まりがいい
・内部空間を無駄なく使える
・積層構造に適している
四角は機能的に強すぎる形なのだ。
■ まとめ:角ばった形は、合理性の結晶だった
昭和の家電が角ばっていた理由は、
・金属加工がしやすかった
・家具と並べやすかった
・内部構造が四角だった
・強度と安定性に優れていた
・機能説明型のデザインだった
どれも、
**生活と技術に合わせた“最適解”**だった。
丸い家電が増えた今、
昭和の角ばった家電を見ると、
どこか頼もしさを感じる。
それは――
合理性と実直さが、形そのものに宿っていたから。

